初孫誕生で意気上がるフェネルバチェのジーコ監督(55)が、「名選手、名監督にあらず」のジンクスを打ち破る。今日2日(日本時間3日未明)の欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第1戦でチェルシーをホームに迎える。選手としての実績は申し分ないが、これまで監督としての手腕に疑問符が付けられてきた。それが初孫パワーで運気上昇を信じ込む「神様」は、クラブ初の4強入りに自信満々。名将モウリーニョ氏が築いたチェルシーを砕いて、一流監督の仲間入りを果たすつもりだ。

 難敵チェルシーを前に、ジーコ監督の強い自信が言葉となって飛び出した。「勝利のために戦う。ゲームに集中できれば目的は達成できる。第1戦を2-0で勝てば、次に負けてもスコア次第で勝ち抜けられるだろう」。伏兵フェネルバチェ監督として、今季初めて欧州CLに臨んだ。1次リーグ初戦でイタリア王者インテルと対戦。全員が粘り強いプレーを披露し、1-0の金星を挙げた。その再現を疑わない。

 自信には訳がある。先週、ジーコ監督の二男ブルーノさん(歌手)に長男が誕生した。待望の初孫に気分よく臨んだ29日のベシクタシュ戦、トルコリーグで覇権を争うライバル相手に、アウェーで2-1の勝利を収めた。監督としての公式戦200試合目を勝利で飾り、首位を守ると同時に、チェルシー戦への手応えもつかんだ。感激を抑えられぬ「ジーちゃん」は、その胸の内を公式ブログにこうつづった。

 「生まれたばかりの自分の孫が、早くもおじいちゃんにプレゼントしてくれたということか(相当ツキを持っている?)。これから我々の心強い味方になってくれるだろう。いよいよ水曜日には大事なチェルシー戦だ!(以上抜粋)」。

 さらにメディアには「前からチェルシーには勝てると信じていたが、(孫が)生まれてから運がよくなった気がするし、さらに確信を持てるようになった」とも発言し、「神通力」を強調する。孫の名前は「フェリペ」。02年W杯優勝監督で、現在ポルトガル代表を率いる名将と同名だ。

 名選手、名監督にあらず-。前回W杯で惨敗。トルコ1年目でも途中、サポーターから解任を要求された。その采配には、常に疑問符が付けられてきたジーコ監督だが、自らの価値を証明する舞台は整った。日本で神とあがめられる男は「我々の目的はかなうだろう」と勝利を予言。運気も味方に、初戦のホームに神風を吹かせる。