<フランスリーグ:ルマン3-2ランス>◇26日◇ルマン

 フランス1部ルマンMF松井大輔(26)がランス戦(ホーム)で「惜別」の2得点を挙げ、3-2の勝利に貢献した。前半20分に鮮やかな左足のボレーシュートで先制し、5分後にも左足で加点。昨年1月13日以来、1年3カ月ぶりのマルチ(複数)ゴールで今季5点目を記録した。試合後には今季限りの退団を明言し、「恩返しのゴール」と説明。さらなるステップアップを誓った。(松本愛香通信員)

 松井が躍動した。前半20分、MFセセニョンの縦パスへ走り込み、大きく弾んだボールに左足を振り抜いた。ドライブのかかったシュートは対角ポスト際へ、勢いよく飛び込んだ。スタンドに向けて右手を振り下ろしながら最敬礼。「三銃士」のパフォーマンスで喝采を浴びた。

 続く同25分にも前線へ飛び出した。MFセセニョンのパスをワントラップし、冷静に左足でGKの股間(こかん)を射抜いた。今度は両手人さし指を突き立てる「1番ポーズ」で、喜びを表現。ベンチのガルシア監督も同じポーズで、わが事のように喜んだ。1年3カ月ぶりの2得点には、大きな意味があった。クラブ、サポーターへの惜別の思い。感謝の気持ちが「ルマンの太陽」を輝かせた。

 松井

 ルマンの人たちに恩返しじゃないけど、感謝の意味で。ホームはあと1試合しかないから。チームにはもう残らないと伝えている。もう4年いて、自分としてはステップアップしたいし、自分のキャリアを積みたい。本当にルマンには、すごく感謝しきれない部分はありますけど。プレジダン会長にも、チャレンジしたいと伝えました。

 04年9月にJ2京都から加入。当時2部のチームは、23歳の若武者に歩調を合わせるかのように成長した。松井こそ、ルマンの姿そのものだった。試合後、報道陣に囲まれる主役の脇を通りかかった恩師ガルシア監督は「彼はもっとやれる」と声をかけた。

 6月のW杯予選で岡田ジャパンに招集されることも濃厚だ。10年南アフリカを目指し、新たな挑戦が始まる。今季3試合を残し、「行き先はもうちょっと考えたい」。そういう言葉をかき消すように、サポーターから「ダイスケ!」の大声が飛んだ。松井は周囲に背中を押され、第2の故郷ルマンから羽ばたく。