フランクフルトMF稲本潤一(28)が12日、緊急帰国した。ブンデスリーガは17日が最終節だが、左足腓骨(ひこつ)の古傷を完治させるために一足早くチームを離れることを決意。6月にはW杯3次予選を控えるが、ボルトが埋め込まれたままの左足の治療を優先させることを明言した。岡田監督から貴重な戦力として期待される屈強なボランチは、万全な体で9月からの最終予選を目指す。

 シーズンの終了を待たずに帰ってきた稲本は「優先させるのは治療ですね」と言い切った。岡田監督からは「呼んでみたい」とラブコールを送られている。稲本自身も「代表の力になりたい」と話した。しかし、まずはケガの完治。全力のプレーをするために、左足を万全の状態に戻す。

 左腓骨を骨折したのは4年前、04年6月の日本代表イングランド戦だ。手術4カ月後に実戦復帰し、骨を固定するボルトを埋めたままでプレーしてきた。「特に痛みはない」と話した通り、今季もリーグ33試合中23試合に出場。10日のシャルケ戦もフル出場し「プレーするのに、問題はない」とも話した。

 しかし、ボルトによる違和感はある。最終節のデュイスブルク戦は警告の累積で出場停止になったが、すでにクラブと話し合って早期帰国を決めていた。今年は欧州選手権があるため、例年より2週間ほどオフが長い。来年以降へ、完治させるには好都合。日本協会にも、クラブから「ケガの完治を優先させて欲しい」という申し出があった。

 完治させるには、ボルトの除去が近道。手術を受けるかは「検査結果次第」と話したが、早期帰国の前提に手術があるのは間違いない。キリン杯とW杯3次予選出場は絶望となるが、目指すのは来季のリーグ戦、さらにW杯最終予選とW杯本番だ。「代表スタッフと連絡を取り合っている」と明かした稲本が、万全な体を取り戻して最終予選の切り札となる。