<欧州CL:マンチェスターU1-1(PK6-5)チェルシー>◇21日◇決勝◇モスクワ

 【モスクワ22日=春日洋平通信員】マンチェスターUが9季ぶりの欧州一に輝き、MFクリスティアーノ・ロナウド(23)が号泣した。史上初のイングランド決戦となったチェルシー戦で、前半26分に豪快な先制点をたたき込んだ。1-1で突入したPK戦では失敗したが、得点王(8点)を獲得し、最後まで「ロナウドの大会」を印象付けた。6月の欧州選手権(オーストリア、スイス)、12月のクラブW杯(日本)優勝を目指し、「世界一の男」はまだまだ走り続ける。

 勝利の瞬間、C・ロナウドの感情が爆発した。力強くガッツポーズをつくると、ピッチに倒れ込み、突っ伏して号泣した。背中に打ち付ける、滝のような雨が心地よかった。少年時代から夢見ていた欧州CLのタイトルをつかみ、自然と体が震えた。表彰式が始まっても、熱い涙がこぼれる。欧州一の味は、想像以上に格別なものだった。

 C・ロナウド

 今はとてもすばらしい感情に包まれている。言葉で表現できない。もちろん、PKを失敗した時はとても落胆した。でも、そんなこと聞かないでくれ。この大舞台でゴールを決めたこと、(メダルを手に)これをつかんだことが重要じゃないか。

 決勝でも圧倒的な存在感を見せつけた。前半26分、右クロスを打点の高いヘディングでゴール左へたたき込んだ。最高の滑り出しでチームを勇気づけると、その後も技術、スピードを生かした鋭いドリブル突破で、左サイドを何度も切り裂いた。柔らかく沈む上に、雨で重くなったピッチ。ドリブラーにとっては不利な状況だ。それでも倒されても、倒されても、何度も立ち上がり、最後まで走り続けた。

 少年のような心。C・ロナウドを支えるキーワードだ。自伝本の中でこう語っている。「僕はいつも少年でいるために年齢と戦っている。少年でいることによって、逆境に直面しても軽い気持ちで考えられるんだ。学ぶこと、向上すること、あきらめない気持ちにもなれる。これはサッカー選手である僕、人間である僕に重要な要素なんだ」。自らの先制点に歓喜し、一心不乱に走った。PK失敗にも前を向いた。自らの生きざまを欧州決勝の舞台でも愚直なまでに示し、最後は運を味方につけた。

 タイトルを手にRマドリードへの移籍話が再燃しかねない状況だが、うわさを一蹴した。「もう5年ここにいるし、クラブへの愛情は深い。自分の中ではここに残り、もっと重要なトロフィーを取り続けたい。ここ第2の故郷なんだから」。クラブの英雄ボビー・チャールトン氏から抱きつかれると、23歳の「少年」は表情を崩して、無邪気に喜んだ。