【バルセロナ(スペイン)8月26日=塩畑大輔、山本孔一通信員】エスパニョールMF中村俊輔(31)に、強力ライバルがあらわれた。ギリシャ1部イラクリスMFフェルナンド・マルケス(24)の加入が決まった。中村と同じ中盤の攻撃的ポジションを本職とする、天才肌のアタッカーの加入で、30日のスペインリーグ開幕戦ビルバオ戦に向けたポジション争いは、一気に激化した。

 最凶の悪童と最高の優等生のガチンコ勝負が始まる。19日から入団テストで、エスパニョールの練習に参加していたF・マルケスは、26日にクラブとのサインにこぎつけた。元U-20スペイン代表は切れ味鋭いドリブルで、堅守で鳴るエスパニョールの主力DFを軽く抜き去った。18歳にしてラージョ・バジェカーノでトップデビューも果たし、将来のスペイン代表を背負う1人と評価された才能を、見事に証明した。

 だが才能だけでなく、素行の悪さもワールドクラス。特に過度の飲酒や夜遊びが才能の開花を妨げてきた。自由奔放なC・ロナウドに「お前は謙虚になった方がいい」と言わしめた悪童、飲酒運転や信号無視で警察の御用になったこともあり、一時は国内での移籍先を失った。近年はギリシャで細々とプレーしていたが、心を入れ替えてプレーすることを誓い、故郷スペインでの入団テストにこぎつけた。

 まじめにサッカーに取り組めば、中村にとって脅威のライバルになる。中村と同じく、中盤のトップ下と両サイドのプレーが可能。得意のFKは、中村と同じ左足だけでなく、何と右足でも正確無比な弾道を描く。中村は26日の練習後も「ここまでは思ったとおりに調整できている」とコンディションのよさに自信をみせていた。先発争い無風区と思われた中村のポジションだが、ライバルの出現で、にわかに競争が熱くなりだした。

 [2009年8月27日9時9分

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