<スペインリーグ:ビジャレアル0-0エスパニョール>◇4日◇ビジャレアル

 【ビジャレアル=山本孔一通信員】エスパニョールMF中村俊輔(31)が、守備的MFで先発し、0-0の前半20分に退いた。前半15分に味方DFが一発退場した影響で、守備固めのためにDFと交代した。中村が先発した試合で20分間で退くのはプロ最短。6日の日本代表の合流に向けて弾みをつけるどころか、後味の悪い一戦になった。試合は引き分けに終わった。

 西日で伸びた長い影を引きずるような歩みが、中村の無念さを表していた。前半20分。中村は交代ボードに光る番号「7」を確認すると、頭をかきながらベンチに消えた。不運というしかない。その5分前にDFフォルリンが、GKと1対1になったビジャレアルFWロッシを、後方から引きずり倒した。ファウル位置はペナルティーエリア外。PKにはならなかったが、得点機を阻害したとの主審の判断で、フォルリンは退場処分となった。

 強豪ビジャレアルとのアウェー戦。1人少なくなったエスパニョールは守備を固めるしかない。DFピジュとの交代相手として、司令塔の中村が指名された。今季初めてボランチとして先発。これまでの両サイドでのプレー時より、頻繁に攻撃の組み立てに絡む活躍が期待されたが、ボールに7回触っただけで、この日のプレーは終わった。

 皮肉にもフォルリンの退場につながった、FWロッシへのスルーパスは、中村を巧みなトラップでかわしたMFマルコス・セナが放ったものだった。ビジャレアルは、セルティック時代の08年欧州CL1次リーグ第2節で対戦し、0-1と敗れて3季連続の決勝トーナメント進出を阻まれた因縁の相手。リベンジを期した一戦は、あまりにもあっさりと終わってしまった。

 [2009年10月5日9時5分

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