<セリエA:カターニャ3-0パルマ>◇23日◇カターニャ

 カターニャの日本代表FW森本貴幸(21)が、セリエAで約4カ月ぶりのゴールを奪った。パルマ戦に2-0の後半29分から出場すると、3分後にゴール前へ走り込み、左サイドからの低いクロスボールを右足で合わせた。リーグ戦では昨年9月27日のローマ戦以来となる今季4点目。長いスランプから解放されて喜びを爆発させ、仲間たちから手荒い祝福を浴びた。チームのレギュラー争いへ、そして悲願のW杯南アフリカ大会出場へ、森本ががけっぷちからよみがえった。

 森本がようやく「壁」を破った。後半32分、左サイドのDFカプアーノがゴール前へ低いクロスボールを送る。オフサイドラインぎりぎりから、鋭くニアサイドへ飛び出す。しばらく忘れていたゴールの嗅覚(きゅうかく)がよみがえった。右足で合わせたボールは、相手GKの逆を突き、ゴールネットへと転がった。

 118日ぶりのリーグ戦での一撃に、歓喜を抑えられなかった。ガッツポーズを繰り返し、熱狂的なサポーターが待つゴール裏へと走った。スタンドのファンたちは最前列まで次々と駆け降り、大騒ぎ。その前でチームメートと力強く抱き合い、ベンチを飛び出したスタッフからも手荒く頭をなでられた。場内放送で「モリモト、ゴール」とアナウンスされると、同時に自らユニホームの肩口をつまみ、背番号15を指さした。

 試合後は報道陣の問いかけに対し1度は手で遮ったものの、追いすがられると口を開いた。笑顔はなく、小さくこもった声で「このゴールに感激している。とてもうれしい。ゴールしていなかったから、この3カ月はとてもつらかった」。あふれ出た感情を悟られぬよう平静を装ったが、その目は赤かった。長いスランプと闘い、極度の重圧から解き放たれた胸中がにじみ出ていた。

 まさにがけっぷちで飛び出した待望のゴールだった。16日の会見でミハイロビッチ監督は精神面の弱さを指摘し「次のチャンスに力を示してほしい」と発言した。翌17日のサンプドリア戦では出番がなかった。そこへチームは、バルセロナでも活躍した実績あるアルゼンチン人FWマキシ・ロペスを補強。このまま出場機会を失えば、悲願のW杯出場も厳しくなる。森本は追い詰められていた。

 FWマルティネスは「モリがゴールできてうれしい。この得点で精神的にも落ち着くだろう」と思いやった。そしてミハイロビッチ監督は「このゴールでブレーキから抜け出せることを願う」。試合直後には指揮官からも抱きしめられ、おしりを蹴飛ばされた。森本は実感を込めて「信頼は力になっていて、自分は恵まれている。クラブが自分のそばにいてくれるから」。長いスランプを経験した日本代表期待のホープは、イタリアでまた、ひと皮むけた。【猪野真美子通信員】

 [2010年1月25日9時22分

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