エスパニョールの日本代表MF中村俊輔(31)の代理人が、移籍交渉を視野に横浜と接触していたことが16日、分かった。横浜強化部門トップの下條佳明統括本部長が、代理人側から15日に連絡があったことを明かした。中村の現状と横浜のチーム状況の情報交換にとどまったとしているが、日本復帰を模索する中村側の動きが表面化した形。スペイン紙もエスパニョール会長が「(中村側が)チームを離れたいと考えている」と発言したと報道。中村の7年半ぶりのJリーグ復帰が、一気に加速する可能性が出てきた。

 下條本部長はこの日「昨日今日の話ですが(代理人のロベルト佃氏から)電話で連絡はありました」と中村サイドから初めて接触があったことを認めた。また「具体的な話はしていません」としながらも「(スペイン各紙などで)報道されているようなことの現状を説明していただいた」と話し、移籍交渉を視野に入れて情報交換を行ったことを明かした。

 12日付のスペイン各紙で中村のエスパニョール退団が報じられて以降、同国内でその去就問題の報道が過熱したが、中村側の具体的な動きが表面化することはなかった。エスパニョール移籍当初こそ先発が多かった中村だが、徐々に出場機会が減った。最近では右太もも裏の故障もあってベンチ外という状況が続いていた。

 さらにベンチ外となったことについてポチェッティーノ監督が「けがではなく監督としての決断」と話すなど、定位置確保にはほど遠い状況となっている。このままでは、6月のW杯南アフリカ大会まで控え扱いの恐れもあり、中村側が出場機会を求めて行動を起こしても不思議ではない。16日付のスペイン紙は、エスパニョールのサンチェス・リブレ会長が「選手(中村)と代理人がチームを離れたいと考えているのは明らか。我々は中村に投資をしており、彼がチームを離れるならその分は回収する」と発言したと報じた。

 報道が過熱しているスペイン各紙では、移籍先候補として横浜のほか、浦和、G大阪などを挙げているが、現在までに中村側の接触が明らかになったのは横浜だけ。日本復帰なら古巣を優先しているとみられ、下條本部長も「それも自然だと思います」と受け止めている。同本部長は移籍交渉について「具体的な話はしてません」としたが、今後の展開次第では、一気に加速する可能性は十分にありそうだ。

 [2010年2月17日8時24分

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