【モスクワ24日=八反誠】CSKAモスクワの日本代表MF本田圭佑(24)が、突然ベンチ外になった。25日(日本時間26日未明)のスパルタク・ナリチク戦(ホーム)の前日練習後、前泊する遠征メンバーから外れた。本人は「ケガではない」とだけ言い残し、そのまま帰宅した。本田はチームの主軸だが、W杯南アフリカ大会前から前線の攻撃的な位置での起用を強く要望しており、ボランチ起用を続けるレオニード・スルツキ監督(39)と対立した可能性がある。本田がベンチ外となるのは、CSKAモスクワ移籍後初めてとなる。

 本田が突然、ベンチ外になった。スパルタク・ナリチク戦に備えモスクワ郊外のクラブ施設で行われた練習後、同施設内に前泊する試合メンバーとは離れて、自家用車を運転して帰宅した。車の窓を開けて取材に応じた本田は「ベンチ外か?」の問いに「そうです」と答えた。理由については明言を避けたが、「ひとつ言えることはケガではないということです」とだけ言った。

 非公開で行われた全体練習後、主力が引き揚げる中で、本田だけが試合に出場しないメンバーにまじり、ミニゲームなどで汗を流したという。練習熱心な本田だが、通常試合前はコンディション調整も含め軽めのメニューで切り上げる。この日の練習前か練習中に「ベンチ外」と伝えられていたもようだ。

 起用法を巡って監督と対立した可能性がある。本田はW杯前からスルツキ監督のボランチ起用に対し「NO」と言葉に出してきた。W杯で2得点を挙げ日本代表を16強まで導いたが、自身のリーグ復帰戦となった前節はボランチで先発し計3ポジションでプレーした。試合後には「気持ち的には、複雑ですね…。落ち着いてから監督と話をしたい。監督は何でもできると思っているみたいで…」と不満を封じ込めるような口調で、胸の内を吐露していた。

 「やるつもりはない」と再三公言していたボランチ起用が続くことを「これはひとつの壁」と表現。23日には打開策について「自分の気持ちに正直に行動したら、あとはなるようになるんじゃないかと思ってます。とにかくオレは自分のために最良の選択を考えるだけです」とも話していた。

 「自分のため」と強調した本田に、チーム事情はどうあれボランチを受け入れる選択肢はこれっぽっちもないようだ。小さなころからずっと自らの主張を曲げない本田と、選手起用の全権を握る指揮官との話し合いがこじれ、今回のベンチ外という措置に発展したとも考えられる。

 今回の試合はW杯後の本田のホーム初戦となるはずだった。CSKAモスクワは前線の攻撃的な位置に各国のタレントがそろう。世界の各国の強豪が本田の得点力を高く評価。名門ACミランなどが獲得を狙っているとも報じられている。今回のベンチ外が、騒がしい去就問題を加速させても不思議はない。

 [2010年7月25日8時36分

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