プレミアリーグ・マンチェスターUが獲得を狙う日本代表MF香川真司(22=ドルトムント)の移籍が、今夏に早まる可能性があることが4日、分かった。8月5日のブンデスリーガ開幕戦から3試合を見極めた上で、夏の移籍市場締め切り間際の8月末にマンUが正式オファーを出す方針だ。当初は今冬の市場で移る可能性が高かったが、マンUの元韓国代表MF朴智星(30)のセリエA・ユベントスへの移籍が浮上。アジア戦略を進めるクラブ事情もあり、香川獲得の動きが加速した。

 香川のマンU移籍の動きが、さらに加速した。既にマンU側は8月5日に開幕するブンデス開幕戦から全試合を視察する方針を固めている。香川に近い関係者は「特に開幕からの2、3試合が重要になる。ベストパフォーマンスが出せればこの夏に大きな動きが出てくる」と明かした。1月のアジア杯で骨折した右足小指の回復具合を3試合で見極めた上で、問題がなければ欧州の移籍市場締め切り間際の8月末に電撃オファーが届く可能性が高まった。

 当初は早くても今冬、もしくは1年後の来夏の移籍が濃厚だった。だが、ここにきてマンUの主力選手であるMF朴智星のセリエA・ユベントスへの移籍話が浮上した。関係者は「マンUにはさまざまな面で、実力のあるアジアの選手を獲得したいという思惑がある。それも(香川を)欲しい要因の1つにある」と説明した。営業面も含めてアジア戦略を進めるマンUが、香川獲得を早める方針になったという。

 今年1月31日の欧州の移籍市場締め切り日にも、日本代表DF長友がインテルミラノから電撃オファーを受け、移籍が成立した経緯がある。香川のリーグ3戦目は8月20日のニュルンベルク戦。仮に3試合を視察した後にオファーを受けたとしても、10日以上の交渉時間がある。マンUは2000万ユーロ(約23億円)の移籍金を準備しているという。昨夏にほぼ移籍金なしでC大阪から獲得したドルトムント側としても納得がいく金額で、金銭面で障害が出ることは考えにくい。

 今夏の移籍が実現すれば、初めて挑む欧州チャンピオンズリーグにもマンUの一員として出場できる。ドルトムントも本戦出場を決めているため、移籍が今冬なら登録上の問題でマンUが決勝トーナメントに進んでも出場できなくなる。

 日本でのオフを終え、先月末にドイツに出発する際、香川は意味深な言葉を残した。

 「結果を出して、世界に自分の名前を広めたい。昨シーズン(10-11年)以上の成績を残せば、楽しみな未来が待っている。いつ誰が見ているか分からない。1試合、1試合を大事にやっていきたい」。

 開幕から3試合でマンUのオファーを勝ち取ることができるか-。香川にとっても、そして日本サッカー界にとっても「楽しみな未来」は、来月末にも訪れる可能性が出てきた。