<セリエA:インテルミラノ1-0ACミラン>◇15日◇ミラノ

 インテルミラノの日本代表DF長友佑都(25)が、イタリアサッカー史に確かな足跡をしるした。15日の「ミラノダービー」ACミラン戦にフル出場。世界を代表するライバル対決のピッチに、日本人として初めて立った。「勇気を持って、日本人の侍らしく、という気持ちでプレーした」。勝利のホイッスルを聞くと、MFサネッティとおじぎパフォーマンス。重圧から解き放たれた、充実の笑顔だった。

 守勢に回った前半を耐え切ると、後半に次々と見せ場をつくった。同16分、ペナルティーエリア外からミドルシュート。DFキブ投入で1列前の左MFに上がると、守備の負担から解放され、27分には右サイドから切れ込みシュート。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(58)も視察に訪れた試合で、前線に現れるたびに危険な雰囲気を漂わせた。

 「街も、試合前のロッカー室の雰囲気もまったく違う。こういうことを経験できるのはすごく大きい」。ミラノの街を二分する大一番。歴史と伝統の重みを肌で感じた1週間だった。ラニエリ監督からは「長友はとても成長している。イタリア語ももっと上達すればいいんだが」と、冗談交じりに称賛されていた。【波平千種通信員】

 ◆ダービーマッチ

 同じ町やリーグで、ライバル関係にあるクラブ同士の試合。イタリアではミラノ、ローマ(ローマ-ラツィオ)の町同士の対決のほか、ユベントス-インテルミラノがナショナルダービーとして世界的な注目を浴びる。スペインのRマドリード-バルセロナは「クラシコ」と呼ばれる。過去に日本人選手では、中田英寿がローマ時代にローマダービーに、CSKAモスクワMF本田圭佑がモスクワダービー(対スパルタク・モスクワなど)に、それぞれ出場経験がある。横浜MF中村俊輔は、セルティック時代にオールドファーム・ダービー(対レンジャーズ)に出場した。