<プレミアリーグ:ボルトン1-2ウィガン>◇11日◇ボルトン

 アーセナルからボルトンに期限付き移籍中のFW宮市亮(19)が、11日のウィガン戦(ホーム)でプレミアデビューを飾った。宮市は0-1で迎えた後半開始と同時にピッチに登場。左MFの位置に入り、左サイドを疾走。何度も中央へ鋭いクロスを上げた日本人4人目のプレミアリーガーに、コイル監督ら周囲の評価は上々だ。

 「リーグ戦に出てこそ、プレミアのクラブに来た意味がある」と話していた宮市が、念願のピッチに立った。まだ表情にあどけなさが残る19歳だが、プレーはベテラン顔負けの迫力。後半開始から登場すると、豊富な運動量を生かして、左サイドを何度も往復。中央へ的確なクロスを供給し、左CKも任された。

 そして1-2と1点を追う後半41分に最大の見せ場がやってきた。左サイドを駆け上がった宮市はスルーパスに反応。DF裏に抜けてボールを受け、GKと1対1になった。左足で強烈なシュートを放つも、GKの指先にわずかにはじかれ、初出場初ゴールはならず。試合もそのまま敗れた。

 それでも周囲の評価は上々だった。コイル監督は「素晴らしかった。すぐインパクトを与えてくれると思ったが、その通りだった」と笑顔を見せ、ボルトン唯一の得点を決めたM・デービスも「同点になった時、ウチが勝つと思った。リョウはキレがあったし、プレーの判断も良かった。彼が決勝点を決めると思ったほどだよ」とべた褒めした。

 稲本潤一(フラム、ウェストブロミッジ)戸田和幸(トットナム)中田英寿(ボルトン)に続く4人目の日本人プレミアデビューは、簡単には訪れなかった。宮市は10年12月にアーセナルに加入すると、翌11年1月に期限付きでフェイエノールトへ移籍。今季はプレシーズンの出来が評価されてアーセナルに“残留”したが、リーグ杯2試合しか出番がなかった。

 それだけにデビューを果たしたとはいえ、ボルトンでは定位置獲得から始めなければならない。加えてクラブは2部降格の危機にある。この日はホームで最下位ウィガンに敗れるという痛すぎる1敗を喫し、自動降格圏を抜け出せず。コイル監督が「フィジカルに改善の余地がある。だが彼の向上心とハングリーさ、試合での気迫は大好き」と話す宮市が救世主となれるか。