<FA杯:ミルウォール0-2ボルトン>◇18日◇英ロンドン

 アーセナルからボルトンに期限付き移籍中のFW宮市亮(19)が「イングランド初ゴール」を挙げた。2部ミルウォールとの5回戦に左MFとして、移籍後初先発。前半3分に左サイドからペナルティーエリアに進入し、GKとの1対1から右足で決めた。試合は2-0で勝利。「世界最古のカップ戦」で宮市が最高の輝きを見せた。

 日本が生んだ快足ウイングが開始早々に決めた。前半3分。左サイドのDFリケッツのFKに反応し、DF裏に抜けてボールを受けると、そのままGKと1対1に。GKの頭越しに弧を描く右足シュートを、ゴール右へあざやかに決めた。宮市の「イングランド初ゴール」にチームメートも大喜び。小雨の降るイングランド特有の湿った空の下でも、満面の笑みを浮かべた宮市を取り囲むように、全員で抱き合った。

 宮市はその後も持ち味の豊富な運動量を生かして、攻守に奮闘。後半21分には相手選手が宮市を止めるために危険なスライディングでイエローカードをもらうなど、ミルウォールの脅威であり続けた。後半33分に交代した宮市の活躍で、FA杯4回戦でサウサンプトンを下したミルウォールに李の“敵討ち”。宮市は「世界最古のカップ戦」で、04年2月4日エバートン戦の稲本潤一(フラム)に次いで、ゴールを決めた2人目の日本人としても名を残した。

 活躍の予感はあった。宮市は移籍後初出場となった前戦11日のリーグ・ウィガン戦で、持ち味のスピードをいかんなく発揮。後半開始から登場すると、同41分にはGKの指先に阻まれたが、左足で惜しいシュートも放った。その試合後、「出場できてうれしかった。次こそ得点できると確信しています」と話した「予言」が、この日のミルウォール戦で的中した。

 宮市は“無敗神話”も守った。これまでプレミアリーグのクラブに所属した日本人選手で、リーグ戦、カップ戦など、すべての大会を含めてゴールを決めたのは西沢明訓(ボルトン)稲本潤一(フラム、ウェストブロミッジ)中田英寿(ボルトン)の3人。この3人が得点した8試合すべてでチームは勝利している。そしてこの日の宮市。日本人プレミア戦士がゴールを決めた試合は9戦全勝となった。

 これでリーグ戦での先発の可能性も高まった。ボルトンの次戦は25日(日本時間26日午前0時)のアウェー、チェルシー戦。さらに続く3月3日(同3月4日午前0時)には現在プレミアで首位を走るマンチェスターCとの対戦が控える。現在、プレミアリーグ20クラブ中19位に沈むボルトンにとって、1部残留をかけた厳しい戦いに、宮市は欠かせない存在となった。

 ◆宮市亮(みやいち・りょう)

 1992年(平4)12月14日、名古屋市生まれ。愛知・中京大中京からアーセナル入り。直後の昨年1月にフェイエノールトに期限付き移籍。今季は労働許可証を取得し、アーセナルで登録されたが、リーグ杯2試合しか出番がなく今年1月にボルトンへ期限付き移籍。ドリブル突破が持ち味。183センチ、70キロ。