日本代表DF長友佑都(26)が帰国し、左膝のけがから完全復活を宣言した。

 超プラス思考で逆境からよみがえった長友は、戦闘準備が整っていた。迷彩色のズボンで帰国の途につき、すっきりとした表情で切り出した。「変にとらえてほしくないが、けがをしてよかった。学べたことがたくさんあった。シーズン初めに戻れるなら、またこのシーズンを歩みたい。それくらいサッカー人生に大きなモノだった」。後半戦をほとんど棒に振ったけがも、モノともしない。

 左膝半月板損傷から復帰し、セリエA最後の2試合にフル出場した。秒読みとされた手術を回避した理由は「2回目のけがをしたとき(4月14日カリャリ戦)は正直厳しいんじゃないかと感じていた。でも自分の膝は自分が一番分かっている。自分にしか分からない感覚がある。プレーできていることを信じられない人がいると思う。奇跡が起こったっていう言い方もできる」。そう言いつつも、驚異的回復力とはいえ、患部へのケアを怠ることはなかったたまものだ。

 苦しいリハビリ中、祖母から手紙が届いた。便箋には「成功は人間の表面を飾って、失敗は人の心を豊かにする」とつづられていた。「本当にその通りで、けがをして苦労した分、また心が大きくなれたかな。サッカー選手の成長につながると確信している」と揺るがない。自身をモデルに幼少期から描かれるアニメ「ゆうとくんがいく」を引き合いにさらに言った。「まだまだ僕のストーリーをつくっていかないと。けがしている場合じゃない。苦しんで、ここからはい上がっていく“ゆうとくん”の姿を見せていきたい」。長友が、ここに復活を宣言した。【栗田成芳】