オランダリーグ2部に所属するVVVのハイベルデン会長(64)が来日した。第2の本田圭佑(ACミラン)や吉田麻也(サウサンプトン)を探すためで、今後は日本人選手の育成とともに日本人指導者も育てていくことを明言。交流がある元日本代表MF藤田俊哉氏(42)を来季からトップチームのコーチに就任させる予定で、将来的には欧州主要リーグで日本人監督誕生の手助けをする。

 親日家で知られるハイベルデン会長が、またまた日本人の若手選手を欧州で育てる。今回は28日に来日し、すでにJリーグ2試合を観戦。その視察先で、本紙のインタビューに答えた。

 -来日した目的は

 ハイベルデン会長

 一番は自分のビジネスのためです。私は国際物流関連の会社を経営していて、日本の会社とは30年前から交流しています。自分の仕事と同じくらいの重要な仕事として、将来VVVでプレーする日本人のヤングプレーヤーを探すことも目的の1つです。

 -日本人選手にこだわるきっかけは

 同会長

 8年前からフェルフォーセンが名古屋の監督として2年間指揮を執ったことが縁ですね。彼はVVVでも監督の経験があり、私とは厚い信頼があります。彼から説明を受けて本田圭佑選手を獲得したし、VVVで大きく活躍してくれました。吉田麻也選手もそうですが、日本人は規律正しく、礼儀を重んじ、約束を守ります。しかも今は、日本のサッカーは大きく成長しています。

 -若手をリストアップする理由は

 同会長

 うちは育成型クラブです。本田選手も吉田選手もうちで経験を積んで、結果を残してからビッグクラブへ移籍しました。つまり、世界レベルの日本人選手にとって、VVVは踏み台になるクラブということです。日本から欧州へ移籍するのは難しいけれど、欧州から欧州だと、本人の頑張り次第では移籍は容易です。

 -今回帯同した藤田氏はコーチに就任するのか

 同会長

 日本人のヤングプレーヤーを何人か取る予定だし、藤田さんにはトップチームのコーチとして彼らが成功するための手助けをしてもらいたい。

 -将来、藤田氏がVVVの監督になることは

 同会長

 今は将来のことは言えない。現段階で言えるのは、すべてが藤田さんの努力次第ということ。指導者としてうちを踏み台にして欧州の大きなクラブで監督になる道もあるだろうし、VVVで監督になることも、可能性としてはあります。

 来シーズンから、まずはVVVで指導者歴をスタートする藤田氏も、せっかくのチャンスを逃すまいと、気合十分だ。

 藤田氏

 まずはオランダトップリーグのシステムを学び、育成も文化も吸収して指導者としての引き出しを増やしたい。VVVの経験を自分の飛躍に当てたいと思っています。日本人の指導者として初めて欧州で成功して、後輩のために道を作ってあげたい。

 来シーズンから、日本人の選手と指導者が、オランダの地で大きな挑戦をスタートする。【盧載鎭】

 ◆VVVフェンロ

 1903年創設。オランダ南東部、ベルギーやドイツと国境を接するフェンロ市にある。チーム名はオランダ語で「フェンロ・フットボール連盟」の頭文字から取り「フェーフェーフェー」と発音する。ホームスタジアムはデ・クール(7500人収容)。60-61年シーズンに1部3位というクラブ史上最高位を記録したが、その後は1部と2部を行き来し、今季は2部所属。監督はレネ・トロスト。