<陸上:アジア選手権>◇4日目◇13日◇中国・広東奥林匹克体育中心(広東オリンピックスタジアム)

 女子20キロ競歩の川崎真裕美が10キロ手前で世界選手権ベルリン大会銅メダリストの劉虹(中国)を振り切り、1時間30分12秒でこの種目の日本人初優勝を達成した。

 午前9時20分にスタートした女子20キロ競歩。スタートから競り合っていた劉虹が10キロ手前で遅れてからは、川崎の戦う相手はコース上を吹き荒れる強風になった。

 「国体は終わった後に疲れが出てしまい、体調が上がらないという不安を持って臨んでしまったのがマイナスだと思います」と、川崎はこのレース目標タイムを日本記録更新ではなく1時間29分台に設定していた。スタートから14キロまでは狙い通りの歩きをしたものの、強風の中の独歩でペースは徐々に落ちて、2キロのラップタイムは9分台となり、結局ゴールタイムは目標よりわずかに遅い1時間30分12秒にとどまった。

 「内容的には薄かったけど、狙っていた金メダルを獲れたので目標は一応達成できたと思います。それに世界選手権3位の劉選手が失格したから、ベルリンのリベンジもできました」。8月の世界選手権で初めて味わった“失格”という屈辱を、3カ月ぶりの国際大会の優勝で晴らせたという意味は大きい。

 レース直後、中国人記者に来年この会場で開催されるアジア大会への抱負を質問された川崎は、「ぜひとも優勝して、もう一度“アジア一”なりたいですね。ただ、この気候条件だと日本記録(1時間28分03秒)を出さなければ勝てないかなと感じたので、高速レースを想定した練習に取り組みたいと思います」と答えた。彼女の気持ちはすでに、次へと向けられていた。