15日にベルリンで開幕する陸上の世界選手権に出場する日本代表の最年長、36歳の早狩実紀(京都光華AC)が「自分も初出場のときは18歳だった」と感慨深げに見つめる選手がいる。高校生でただ1人、代表入りした17歳の新宮美歩(大阪・東大阪大敬愛高)だ。

 直前合宿地のドイツ・フランクフルト。「親子ほどの年齢差だし、ドラマの話とかも合わなくて…」と苦笑いしながら、早狩は宿舎などであえて新宮に話しかける。同大で同期だった朝原宣治が引退し、「1年1年が勝負」と言うベテランは「若いチームを盛り上げ、経験を伝える立場」になったことを自覚しているからだ。

 3000メートル障害の予選で転倒し途中棄権した前回大阪大会の雪辱を期す早狩に対し、先の全国高校総体で400メートルと1600メートルリレーの2冠に輝いた新宮は今回、リレー要員として出番を待つ。種目は違うが、年長者の気遣いは「早狩さんは昔から有名人だし、テレビで見てきた先輩と練習できてうれしい」と言う新宮にも伝わっている。

 こちらは若さ全開で、男子選手も驚きの声を上げるほどハードな練習を黙々とこなす。「海外大会は初めて。世界で自分の位置を確かめたい」と目を輝かせた。(共同)