ホップ、ステップ、ライダーキック! 男子3段跳びの長谷川大悟(26=日立ICT)が、五輪初出場を有力とした。2本目の跳躍で、日本歴代4位タイの16メートル88をマークして連覇。自己記録を39センチ更新して、リオデジャネイロ五輪の参加標準記録(16メートル85)をクリアした。仮面ライダー好きのニューヒーローが、同種目では04年アテネ五輪以来3大会ぶりの日本勢出場に前進した。

 かつてのお家芸復活に光が差した。長谷川が「いきま~す」と大声を上げて全力でスタート。リズムよくジャンプをつないで豪快に滑り込んだ。日本歴代4位タイの16メートル88に「うれしいよりも驚いた」。参加標準記録を突破して優勝。リオ切符をグッと近づけた。

 173センチ、60キロ。長身選手が多い跳躍種目では小柄。世界大会の経験もない。殻を破るため、昨冬は砂浜トレを導入。湘南の海辺でサーファーたちにまぎれ、はだしで3段跳び。砂に足をとられて転倒しながらも繰り返した。「冬で寒かったが、接地の感覚が良くなって筋力もアップした」。

 跳躍の安定に加えて、度胸の良さも武器だ。「ジャンプがつぶれてもいいから全力で走る」。お手本は小、中学校時代に夢中になった仮面ライダー。「必殺技の時、全力で相手を倒しにいく。いかにかましてやるか」という。今でも昔の映像を見て、気合を入れる。

 日本初の五輪金メダリスト、男子3段跳びの織田幹雄を冠した「織田記念国際」で、日本勢3大会ぶりの五輪出場を有力にした。戦前は金3、銀1、銅1を獲得するも現在は下火。「皆で刺激しあって『日本の3段跳び、強いね』と言われれば」と長谷川。自慢のライダーキックを世界の壁にぶちかます。【益田一弘】

 ◆長谷川大悟(はせがわ・だいご)1990年(平2)2月27日、横浜市生まれ。小学校は理科実験クラブ。中1で陸上を始め、神奈川・桐蔭学園高2年で3段跳びに専念。東海大卒業後、日立ICT。日本選手権は12年2位が最高。173センチ、60キロ。家族は両親と妹。