「全国高校ゴルフ選手権」(主催日刊スポーツ新聞社ほか)が、山口県の宇部カントリークラブで、5、6日団体戦、8、9日個人戦と行われた。団体の部が第35回、個人の部は第58回を数える歴史ある大会で「緑の甲子園」として親しまれている。

 主にプロツアーを取材している身にとって、久しぶりの高校生の取材は新鮮だった。スタート前とホールアウト後にコースに向かって、帽子を取り礼をする。高校球児がグラウンドに入る前と出て行くときに頭を下げるのと同じ光景だ。「おっさん記者」はこんな姿が大好きで「いいものだ」と思って思わずニヤけてしまう。

 そんな中、茨城県の水城高校の石井貢監督(65)とお話しする機会があった。過去最多の団体優勝6回を誇る高校ゴルフ界の名門。そのゴルフ部を同監督は28歳から率いて37年になる。この世界で知らない者はいない、名物監督でもある。

 今年の水城高の団体の成績は出場37校中、11位に終わった。実は2年後の2016年3月に名門ゴルフ部は廃部になる。11年3月の東日本大震災のあと、今回の遠征でも100万円以上の費用がかかる、そんな後押しが高校自体厳しくなってきたというのが理由である。監督は「学校はよくやってくれました。仕方ないことです。私もその時は67歳になりますから」と穏やかな表情で現状を話してくれた。

 だから、部員は2年生4人、3年生5人。1年生はいない。3年生が卒業する来年の大会は4人中3人のスコア合計で争う団体戦ギリギリの人数で戦うことになる。それでも「最後の大会も必ず全国大会に出てきます」と監督は誓っておられた。

 ツアーの永久シード選手の片山晋呉や宮本勝昌、横田真一ら多くのプロゴルファーを輩出した。監督の指導方針は「練習は試合のように、試合は練習のように」だ。つまり、練習は試合だと思って1打もおそそかにしないで打つ。逆に試合は硬くならずに楽に打ちなさいということだった。「そんなことを厳しく言ってきて37年ですよ。でもね、強いやうまいゴルファーを育てようとは思わなかった。いいゴルファーを育てようと思ってやってきました」。プロゴルファーになるのはひと握りの選ばれた人だ。あとのゴルフ部の選手たちはみんな社会に出て行く。そんな時にゴルフで培ったマナーやエチケット、上下関係のあり方などが生きてくる。監督はそれを身につけてくれれば、それでいいのである。

 「私もゴルフをかじってきました。自分は、ゴルフをやったら“こいつともう1度やりたい”と思われるゴルファーになることを心がけています」と監督に言った。すると「そうですね。それはとても大切なことです」と同調していただいた。台風がくる前で蒸し暑かった宇部だったが、監督と話していて、なんだかすがすがしい気持ちになっていた。【町野直人】