今季日本ツアー初出場となった松山英樹(24=LEXUS)の心意気が、歴史的な盛り上がりを演出した。2バーディー、3ボギーの71で回って1オーバーの15位発進。記録が残る91年以降では日本オープン第1日最多の約1万人のギャラリーを沸かせた。

 4年ぶりに出場した松山が「ビックリしました。ずっと緊張してました」と振り返るフィーバーだった。西武池袋線とJR青梅線の最寄り駅発の無料ギャラリーバスは午前6時の始発から大混雑。1日1台1000円の駐車場は早々に満車となった。午前11時35分のスタート前には、練習する松山を追いかけてギャラリーも大移動。ドライビングレンジでは、最前列で練習を見るために「4時間待った」と言う女性もいた。

 14年の米ツアー本格参戦後は、関東の試合に出るのは初めて。観衆は日本オープンの第1日として最多の1万838人。それだけの人が松山に飢えていた。桁外れの熱気に、13年マスターズ覇者のスコットは「1番ティーに向かう雰囲気は、他のメジャートーナメントに遜色なく、最高でした」と驚き、石川は「これはアダムと英樹の2人で呼んでくれた。その国の世界ランクトップの選手がナショナルオープンに出ることは、大きな意味がある」と話した。

 松山は「僕1人だけの力じゃ、こんなにたくさんの人は呼べない。遼やアダムを含めて、男子プロみんなが呼んでいる」と謙遜したが、日本ゴルフ界への思いも胸に秘めた参戦による効果は大きい。第2日のスタートが午前7時35分と早く「修正する時間がない」と言いながら、日没直前まで行った練習後は約200人のファンに対して30分間の即席サイン会を開いた。

 フェアウエーキープ率は28・57%(100位)ながら、パーキープ率83・33%(7位)という粘りのゴルフ。「いいプレーができなくて申し訳ない」とわびた中でも、13番はグリーンサイドのバンカーから絶妙な寄せでバーディーを奪い、見せ場を作った。300ヤード超のビッグドライブも披露し「今日は距離が出ていた」と大声援を力に変えた。「今日(の状態で)は自分の全力は出せた。明日はもっといいスコアで回りたい」。トップとは5打差。初の日本タイトルは、まだ射程圏内だ。【亀山泰宏】

 ◆日本オープンの第1日最多ギャラリー 資料の残る91年大会以降、この日の1万838人は09年大会(武蔵CC豊岡C)の7843人を更新する最多記録。全ラウンドでの最多は96年大会(茨木CC西C)最終日の1万9874人。ツアー全体(資料の残る94年以降)の第1日最多記録は10年中日クラウンズの1万3252人。全ラウンドでは97年フィリップモリス選手権(現マイナビABC選手権)最終日の3万3187人。