石川遼(16=パナソニック)が、レッドソックス松坂大輔(27)の「凱旋(がいせん)試合」に登板する。松坂が先発予定の日本開幕シリーズ・アスレチックス戦第2戦(26日、東京ドーム)の始球式を務めることが4日、分かった。2人は、昨年12月18日の「GMAプロアマチャリティーゴルフ」で初対面。世界最高の舞台で戦うための心構えや体力づくりを伝授してくれた恩人のため、プロツアーデビュー直前の遼クンがエールを送る。

 尊敬する松坂の先発予定日に、遼クンが東京ドームに駆けつける。メジャー1年目で世界一を極めた松坂のがい旋試合。石川は主催者側からの始球式への登板依頼を快諾した。04年ヤンキース松井の日本での開幕戦では、当時の小泉首相が始球式を行った。高校1年生プロゴルファーは、ツアーデビュー前に「総理大臣級」の注目度で、レッドソックスを出迎える。

 07年のスポーツ界を沸かせた2人は、昨年12月のチャリティーマッチで出会った。尾崎将との豪華なラウンドは、遼クンには衝撃だった。軽々と300ヤード超ショットを連発する松坂に「プロ野球選手ってすごい」と驚いた。初めて間近で見た他競技のスーパースターに「どうやったらそんなに素晴らしい体をつくれるんですか?」と質問。松坂から「君は、柔らかくしなやかな今の体に磨きを掛けた方がいい。機械を使ったトレーニングは、もっと年齢を重ねてからでもいいと思うよ」と優しくアドバイスされた。

 さらにラウンド後の記者会見で松坂から「石川君のような若いスターは、誰もが待ち望んでいる。これから壁にぶち当たっても、必ず乗り越えてほしい。ジャンルは違っても互いに明るい話題を提供したいですね」と最大級のエールをもらった。この熱いメッセージに感銘し、年明け早々のプロ宣言につながった。主催者の話題づくりの始球式登板とは、訳が違う。

 唯一の不安材料は、経験不足だ。サッカー好きで小学生時代は少年団のFWとして活躍したのとは対照的に、野球の方は父勝美氏(51)と「何回かキャッチボールをした程度」。登板決定後は連日、トレーニングの合間にゴルフのクラブを野球のグラブに持ち替えて、入念な投げ込みを続けている。本番では、松坂もびっくりの剛速球を披露するかもしれない。