<高校総体:バスケットボール女子・札幌山の手82-69静岡女>◇29日◇秋田市立体育館◇2回戦

 インターハイでも“なでしこジャパン”旋風だ。バスケットボール女子で昨年、高校3冠を達成した札幌山の手(北海道)が、静岡女(静岡)を下して好発進した。ロンドン五輪予選を兼ねたアジア選手権(8月21日~、長崎・大村)に出場する日本代表に高校生でただ1人選ばれた長岡萌映子(3年)が、29得点を挙げ逆転勝利に貢献した。

 試合終了のブザーが鳴っても、長岡の表情はいつもと変わらなかった。淡々とした表情で仲間とハイタッチを交わした。女王チームとして臨む大事な初戦。チーム最多の29得点をマークし、日本代表の貫禄を示したが「今日は全然ダメでした」と真っ先に反省の言葉が口をついた。

 それでも超高校級のプレーで、チームの窮地を救った。ガードの主力2選手が故障したこともあり、第2クオーター(Q)を終了し、3点のリードを許した。続く第3Q。センターの長岡は第2Qまではアウトサイドのプレーがほとんどだったが、後半からインサイドにポジションを変えると、3Qに9点、4Qに10点と計19得点。代表仕込みのオールラウンドな動きからゴールを量産して逆転勝利を呼び込んだ。

 高校生でただ1人、日本代表入りしている長岡は、19日から東京都内で行われている代表合宿を一時離れ、前日28日にチームに合流したばかり。練習は前日とこの日に1時間しただけで、ほぼぶっつけ本番だった。上島正光コーチ(67)は「ディフェンスが悪い。(長岡の)疲れは関係ない」と話したが、連日、フル代表でもハードな練習。疲労がピークに達していたこともあり、前半は178センチの相手センターを抑えながら外でプレー。ギアを入れた後半からゴール下に入って得点を奪いにいった。

 前日には、チームメートたちに日本代表合宿の経験を伝え、チーム内で言い合うことの大切さを伝授した。試合中にリードされても「楽しもう」と確認し合いながら、チームの精神的支柱として見えない部分でもけん引した。

 2年生エースとして臨んでいる昨年の全国から対高校生チームには、14試合連続で20得点以上をマーク。昨年の高校選抜決勝では、大会歴代2位の1試合50点を挙げ、日本代表の中川文一監督(63)の目にも留まった。自身の奮闘が勝敗を左右するだけに「疲れたなんて言ってられない」。スーパー高校生が得点を重ね続けチームを連覇に導く。【石井克】