能年玲奈似のホープが躍動した。女子57キロ級で今夏の高校総体を制した舟久保遥香(16=富士学苑高2年)が初優勝を果たした。連続テレビ小説「あまちゃん」の放送が始まった中3のころから周囲に「能年に似ている」と言われ始めたそうだが、その実力は「あまちゃん」ではない。

 準決勝では3歳年上の出口クリスタ(山梨学院大2年)から、残り24秒に内股で有効奪取。練習でもしもの時に教えておいたクロスグリップをここぞの場面で出し、巻き込むようにしてポイントを仕留めた。

 続く決勝戦では、総体の決勝に続く村上栞菜(夙川学院高3年)との熱戦に。脇から手を回して大腰を狙ってくる相手に対し、しっかりと脇を締めて対策する。じりじりと自分のペースに持ち込むと、延長戦の1分40秒過ぎにうつぶせになったところを上からめくり返して崩れけさ固めで一本勝ち。「素直にうれしいです。気持ちでどんどん前に出て行けた」と勢いを感じさせる勝利となった。

 6歳から始めた柔道。ともに03年世界選手権代表だった矢崎雄大監督と妻仙子コーチの元で中学から指導を受けて5年が経つ。同監督は「性格的に真面目で、与えた課題は必ずできるように努力を惜しまない」と評価。特に「努力と根性で強くなれる」と本人も話す寝技では、自分が下にいる体勢でも攻めることを意識してきた。普通の学生がいわゆる「亀」になる時にも、積極的に仕掛けてきた。

 まだまだ荒削りな部分は当然ある16歳の目標は「20年の五輪に出ること」。今大会の結果で、今秋からはシニア大会への出場も確実になった。「五輪へ1つ1つの大会をこなしていきたい」と目を輝かせていた。