静岡聖光学院が国学院久我山(東京第1)に敗れた。昨年度大会(対東福岡14-100)と同様にシード校の壁に阻まれての2回戦敗退。だが、前半を7-7で折り返すなど、チームとして格段の進歩を見せた。県下有数の進学校で練習は「週3日」。この方針は変えずに、さらなる進化を目指す。

 ラストワンプレーは、相手のキックだった。試合を終わらせるため、タッチラインの外にボールを蹴りこんだ。瞬間、ノーサイドの笛。メンバーは整列し、応援席に向かって頭を下げた。こみ上げる悔しさと高校ラグビーを終える寂しさ…。感情を抑えきれず、声を上げて泣き崩れた。

 前半は互角以上に戦った。日本代表候補のWTB影山駿介(3年)のパントキックで陣地を確保。FW陣を前に出し、敵陣で押し気味にプレーした。同7分、ディフェンス戦術がはまった。テンポの速い相手のパス回しのタイミングを見計らい、「L」(レーザー光線)のかけ声で一斉に前に出た。光線のごとく一瞬で間合いを詰める戦術で、敵陣10メートルラインでSO青山直生(3年)がパスカット。観客約7000人のどよめきを背に、40メートルを独走して先制トライを決めた。「狙い通りだった。後ろの連動も完璧でした」。

 だが、後半10分を過ぎるとディフェンスが崩れ、4トライ許した。体力、地力の差だった。抽選会の際、川井泰成主将(3年)は「シード校なら久我山と当たりたかった。勝って4強を目指します」と言ったが、花園5度優勝を誇る伝統校の壁は厚かった。

 その壁を破るには、さらなる精進が必要だが、学校の方針で「練習は週3日」と決められている。今後も方針は変わらず、島田至隆監督(39)は「久我山はラグビーも強く、進学校で我々の目標。私生活や時間の使い方をさらに工夫して、次こそは正月を越したいです」と話した。

 3年生のうち、少なくない一般入試受験組は、今日31日から追い込みの勉強に取りかかる。AO入試で慶大に合格している川井主将は「ラグビーは高校まで」と決めており、「まだ実感はないのですが、悔いはありません」と言った。晴れやかな表情だった。【大野祥一】