世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、念願のマスターズ大会優勝にまっしぐらだ。同29位のドルゴポロフ(ウクライナ)に6-2、6-2の71分で快勝し、5年連続で16強に進出した。準々決勝で対戦が予想された同2位のアンディ・マリー(英国)が敗退。決勝まで世界ランクの下位選手としか対戦しない組み合わせとなり、4大大会に次ぐ規模を誇るマスターズ大会初制覇に視野が広がった。

 初戦の2回戦と違い、快勝だった。ジュニア時代からのライバルで、ともに「天才」と将来を期待された者同士。しかし、同じ天才でもジュニア時代から4勝負けなしと相性は抜群だった。「相手のミスを誘うようなプレーができた」と会心の勝利だった。

 先を見据え、体力的も温存できた。非常に蒸し暑く「楽なコンディションではなかった」。71分と短い試合時間でも、ラリー戦になると両手を膝に当て、息が上がることもしばしば。錦織の顔は試合後、赤くほてっていた。その中で、わずか4ゲームしか落とさないストレート勝ちは大きい。

 この日はマリーが敗れる波乱があった。まだ16強だが、すでに世界2位から5位までが姿を消した。帝王ジョコビッチ(セルビア)は健在だが、残った16選手の中で、錦織の6位はジョコビッチに次ぐ世界ランクだ。そのジョコビッチとは決勝でしか対戦しない。

 年頭に「4大大会の前に、まずマスターズで優勝したい」と宣言した。過去にマスターズ大会では、14年マドリードオープンで準優勝したのが最高成績。4大大会同様にトップが勢ぞろいする厚い壁が、錦織の力で壊れる日も近い。

 次戦は、これも過去3戦全勝と相性のいい18位のバウティスタ(スペイン)が相手だ。それでも今季は2大会で優勝しており好調。決して気は抜けない。「気持ちを切り替え、体力を戻して頑張りたい」。まずは8強入りで、初優勝への道を踏み出す。