20年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は25日、都内で会見し、「酷似騒動」により選考をやり直していた公式エンブレムを正式に発表した。最終候補に残っていた4案のうち、A案に決めた。A案作者は野老(ところ)朝雄氏。この日行ったエンブレム委員会の最終審査で決定した。

 A案は、「組市松紋」がテーマ。江戸時代に「市松模様」として広まったチェック柄を伝統色「藍色」で、粋な日本らしさを描いた。形の異なる3種類の四角形が、国や文化・思想の違いを示す。その違いがつながり合い「多様性と調和」を表現し、つながる世界を目指している。

 組織委員会は4作品について一般からの意見を募った。森喜朗会長は25日の理事会で、これまで4万人、述べ11万件の意見が寄せられたことを明かし、「国民の関心の高さが明らかになった」と述べた。

 エンブレムをめぐっては昨年7月、佐野研二郎のデザインに決まったが、その後「酷似問題」が表面化。白紙撤回された。公募で1万4599作品が集まり、14回にわたるエンブレム委員会で、最終候補を4作品に絞り込んでいた。