24年パリ五輪男子100メートル金のノア・ライルズ(28=米国)が今季初戦に臨み、日本記録と同じ9秒95(追い風0・6メートル)で優勝した。オープン参加の予選から10秒05を出し、さらに0秒10短縮。日本短距離の若手に向けてメッセージも送った。日本人トップは桐生祥秀(30=日本生命)で10秒15の4位。男子走り幅跳びは橋岡優輝(27=富士通)が8メートル22で優勝。女子やり投げの北口榛花(28=JAL)は5位だった。

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千両役者のたたずまいだ。ライルズが、再び国立の主役となった。号砲への反応速度は、決勝9人中最も遅い0秒177。そこからまくった。

「スタートはそんなに良くなかった。でも時には『もういいや、気にするな』って切り替える。とにかくベストを尽くすだけ」。

中盤から加速し、2位の米国選手を0秒09差で抑えて唯一の9秒台でゴール。21年6月に山縣亮太が樹立した日本記録と同じタイムでシーズンインした。

3位だった昨年9月の世界選手権東京大会決勝と比べれば0秒06遅い。それでも、「(予選を含めて)今季最初の2本。今の自分の位置を確認してそこから改善していきたい」と冷静。スタート前は人気漫画「ワンピース」の主人公ルフィの名ポーズを披露して、観客を大いに盛り上げた。

今後は200メートルU20世界記録19秒67の18歳ガウト(オーストラリア)とも対戦予定。しかし、この日に予選で対戦するはずだった100メートルU18世界記録10秒00の17歳・清水空跳は故障で欠場となった。

日本では多くのスプリンターが「10秒台の壁」に挑んでいる。世界の頂点を知る米国の英雄は、日本短距離界の発展を願い、若手たちにこんな金言を送った。

「まずは楽しむこと。楽しくなければ、苦しい時期を乗り越えるのが本当に大変になる。毎日自分を奮い立たせ、挑戦し続ける理由は何か。そういうものを見つけることが大事」。

世界最強の男は、日本勢のさらなる躍進を期待していた。【泉光太郎】