五輪ランキング9位の福万尚子(24)与猶(よなお)くるみ(23)組(再春館製薬所)は、同2位の高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)に0-2で敗れ、リオデジャネイロ五輪出場の道を断たれた。日本から2組出場するためには5日付の同ランキングで8位以内に2組入る必要があり、2番手の同組は優勝するしか道はなかった。これで日本勢の五輪選考大会は終わり、シングルスの男子1、女子2、ダブルスの男子1、女子1、混合1の計6枠を得られる見込み。

 表彰台に上がった2組の表情が明暗を物語っていた。敗れて五輪出場を逃した福万、与猶の2人は唇をぐっと結び、静かに涙をぬぐう。勝って日本勢史上初の金メダルを首にかけた高橋、松友組は笑顔で喜んだ。福万は「日本の1番は世界の1番。強かった」と涙を流しながら相手をたたえた。

 リオ五輪をかけたレースの最終戦は、まさかの日本人同士の対決となった。勝敗にかかわらず出場を当確としている五輪金候補の“タカマツ”ペアに対し、福万、与猶組は崖っぷち。優勝するしか道はなかった。

 準々決勝では中国組との1時間57分の長い戦いを制し、前日の準決勝は世界最長の2時間41分を戦い抜き、格上のインドネシア組を倒した。粘って五輪への望みをつないできたが、決勝は激闘の疲れを隠しきれなかった。1、2ゲームともに中盤からずるずると引き離された。与猶は「気持ちがもっとあれば体は動いたはず。準決勝までできたことが(決勝で)できなかった」と悔しがった。

 もし福万、与猶組が勝っていれば日本は2枠を手中にできた。試合後の記者会見では中国の記者から高橋、松友組に「日本のためにわざと負けることを考えなかったのか」と質問が飛んだ。松友は「きれいごとを言えばスポーツマンシップで戦ったということ。でも、わたしたちは五輪の金メダルを目指しているので、誰にも負けるわけにはいかない」と言葉を選んだ。「一緒に戦ってきた仲間のためにも、本番で金メダルを取りたい」と思いを強めた。

 ◆リオ五輪代表選考 15年5月4日から16年5月1日までの獲得ポイントで決める世界バドミントン連盟の5日付五輪ランキングにより決定する。男女シングルスは各38人、男女ダブルス、混合は各16組出場できる。各国シングルス1~16位に2人以上入れば2人、ダブルスで1~8位に2組が入れば2組に出場枠が与えられる。このほかの選考条件は各国ランク内最上位の1人(1組)など。日本協会は枠を獲得した選手を代表とする方針。男子シングルスは、3位だった桃田が賭博問題により資格抹消。佐々木が日本1位の権利を得て、出場確実になった。女子シングルス奥原、山口、男子ダブルス早川賢一、遠藤大由組、女子ダブルス高橋、松友組も出場確実。混合ダブルス数野健太、栗原文音組は、他国との兼ね合いで5日付で資格を得られる見通し。