クールなプリンスの表情をゆがめさせる。Bリーグ1部(B1)の秋田ノーザンハピネッツの田口成浩主将(26)が29日、秋田市内で本拠地開幕戦となる明日10月1日のA東京戦(午後2時開始、秋田市立体育館)に向けて練習を行った。対戦が予想される「日本バスケ界のプリンス」こと田中大貴(25)を粘り強い守備から封じ込める。

 田口の闘志はメラメラと燃え上がっていた。「言葉は悪いですけど、つぶしに行くつもりでいく。もっともっと秋田はすごい、試合を見て楽しかったと言ってもらえるようにしたい」。待ちわびた本拠地開幕戦で迎えるのは強豪のA東京。練習中は誰よりも声を出してフォーメーションを指示。挑戦者としての気迫が、したたる汗とともにユニホームににじんでいた。

 東京のクールガイには負けられない。マッチアップが予想されるのは日本代表の田中。端正な顔立ちと美しい3点シュートで「日本バスケ界のプリンス」と呼ばれる。「彼は本当にプリンス。クールだし」と日本代表合宿などでの印象を語るが、「僕はうるさいし、真逆(まぎゃく)。(自らを一言で例えると)田舎野郎ですかね」と正反対の雑草魂、戦う根性が売りだと胸を張った。

 「気持ちの強さ」が鍵となる。田中の華やかさに注目が集まるが警戒点は守備力だ。代表合宿でも「ディフェンスが一番スゲーなと感じた」と分析。192センチながら素早く自陣に戻る脚力と俊敏さが脅威だという。厳しいマークは覚悟で「ズレ(相手との距離)を起こして思い切りシュートを打たないと、流れは変わらない」と意気込む。

 泥臭く、挑む。今季は主将としてチームを引っ張る立場。前節の開幕戦でも前評判を覆し、強豪栃木を撃破した。「声がかれるんじゃないかってくらい、声を出しまくった。ダメな雰囲気を変えられるように」と声で仲間を鼓舞し続ける。

 今節は本拠地のため「クレイジーピンク」と呼ばれる熱狂的なブースターも後押しをくれる。「期待を上回るように、一丸となってチャレンジャーとしてプレーしたい」と慢心はない。待ってろ東京。秋田の熱量がクールな表情を変えてみせる。【島根純】