2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は6日、大会マスコットの選考方法を一般公募で行うことを発表した。都内で行われたマスコット選考検討会議で決まった。

 デザイン賞受賞者などの参加資格は設けず、プロだけでなく子どもも応募できる、開かれた選考を目指す。一方で、マスコットはそれぞれの競技種目のポーズや着ぐるみなど、キャラクターに動きが必要となる。高度なデザイン技術が必要で例えば、正面の図案だけでなく複数の動きを表す図案を提出するようなハードルの高い要件を設定する方針。

 この日の会議は予定を30分以上オーバー。「プロ指名」か「公募」かで議論がぶつかった。誰もが応募できる「(1)条件なしの公募」、組織委がプロのデザイナー数人を指名して争う「(2)プロ指名コンペ」、「(3)デザイン要件を設定したプロ限定の公募」の3択で揺れた。しかし、それでは決まらず最終的に「(4)デザイン要件を重視した公募」という新たな案が生まれ、それに落ち着いた形だ。

 組織委によると、国際オリンピック委員会(IOC)はプロによるデザインを推奨している。そのため、同会議の副座長でファッションジャーナリストの生駒芳子氏は「日本はマスコット大国でプロの方のご参加も願いたい。よくばりですね」とプロデザイナーへの参加要請を忘れなかった。

 しかし、「一般公募」の要素にこだわったのには「エンブレム白紙撤回」という苦い経験があったからだ。マスコット会議メンバー14人の中には、当時のエンブレム委員長である宮田亮平氏(文化庁長官)ら計5人が名を連ねており、教訓を生かした。開かれた公募にし、透明性確保に尽力した結果、1万4599点もの応募があり、7カ月超を要して生み出した。その苦労もあり、現エンブレムは順調に運用されている。

 ただし、マスコット選考には時間的余裕があまりない。3月末までに選考方法を固めてIOCと国際パラリンピック委員会(IPC)に提出する方針。組織委はグッズ展開などの収入面も考慮し、18年前半にも採用案を発表したい考えだが、一図案とはいかない選考過程や意匠権や商標権の問題もある。「一般公募」としたことで、厳しい選考スケジュールになる不安はある。