田知本姉妹の願いはかなわなかった-。前大会決勝で左膝を負傷してリオデジャネイロ五輪代表の座を逃した田知本愛(28=ALSOK)は決勝で朝比奈沙羅(20)に敗れた。

 万全ではななかった。3月に古傷の左膝を痛めて、今月1日の全日本選抜体重別選手権(福岡)を欠場。15日の前日会見では、けがや不安などを口にしていた。

 この日は、リオ五輪70キロ級金メダルで休養中の妹遥(26)が付き人を務めた。取材エリアでは、田知本が遥について「1年間いろいろあって下を向いている時に声をかけてくれた。感謝の気持ちでいっぱいです」と目を真っ赤にさせると、報道陣の後ろで姉のベンチコートを持っていた遥も涙した。

 この日は、2回戦から3試合連続一本勝ちで“元女王”としてのプライドも見せた。2大会ぶりの日本一とはならなかったが「止まっていた時間を進めることができた。1つ1つ前に進むだけです」と静かに闘志を燃やした。