6日のアメリカンフットボール定期戦で、関学大QBをラフプレーで負傷させた日大3年のDL宮川泰介選手(20)が22日に都内で会見。内田正人前監督(62)と井上奨コーチ(30)の指示で反則したなど経緯を説明した。

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 関学大戦を取材した時は、宮川選手を日大らしい荒々しい選手と思った。一部始終は見ていないためだ。ただ5プレーで3度反則して退場なんて、見たことも聞いたこともない。ビデオで確認するまで「蛮行」とは思わなかった。

 会見で初めて宮川選手の素顔を見て、声を聞いた。こんなまじめで、しっかりものも言えるのに。他校選手に聞くと「いい選手。まじめ」という言葉が連なった。あしき伝統の犠牲者と言えるかもしれない。

 丸刈りを指示され、なぜかグラウンドを10周走らされたという。闘将で名門に育てた篠竹元監督。規律は重んじてはいたが、鉄拳にスパルタだった。ミスした選手には試合中でも同じように10周走らせた。コーチも含めて有無を言わせぬ独裁政権だった。

 内田前監督はその後を継いだ。1度退任してディレクターでチームを統括した16年。ある試合後にコーチが観客もいる前で選手を平手打ちした。負け越し4位となると1年で内田前監督は復帰し、昔の厳しさを打ち出した。選手は「練習は強制です」と笑っていた。

 昨年は27年ぶり大学日本一で厳しさが評価もされた。篠竹時代とも長期ワンマン体制の力ずく、トップダウン、忖度(そんたく)。その弊害が露出した。【河合香】