北京五輪の聖火リレーが7日、パリで行われ、チベット暴動に対する中国当局の対応を非難する抗議の市民5人がリレー走者を妨害しようとして警察に拘束された。主催者側は聖火を守るため、聖火トーチを伴走のバスの中に一時移動する措置を取った。30人以上が拘束されたロンドンでの6日のリレーに続き、パリの聖火リレーも大荒れの展開となった。

 パリでは警官ら約3000人が、抗議行動から聖火を守るため、厳戒態勢を敷いた。聖火の周りでは、警察の車両やオートバイ、ローラースケートをつけた警官らが何重にもなって警戒に当たった。

 聖火はセーヌ川沿いにあるエッフェル塔を出発。元五輪メダリストら80人の聖火ランナーは、凱旋(がいせん)門のあるエトワール広場や目抜き通りのシャンゼリゼを含む約28キロのコースをリレー。

 拘束された5人のうち2人は国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)のメンバー。同記者団は、3月にギリシャで行われた聖火採火式でもメンバーが乱入しており、パリの聖火リレーに合わせた抗議行動を予告していた。ほかにも「チベットに自由を」などと書かれたプラカードやチベットの旗を手にした多数の市民が沿道に集結した。

 聖火リレーのランナーらは「より良い世界を」と記したバッジを着用。パリ市は7日朝から「パリは世界各地の人権を擁護する」との横断幕を、リレーの通過コースに面する庁舎に掲げた。