国際オリンピック委員会(IOC)は9日、北京で緊急理事会を開き、中国のチベット政策に反対する人権団体などの妨害で混乱する北京五輪の聖火リレーに関連して、各国オリンピック委員会連合(ANOC)が作成した宣言を検討、ANOCは宣言に盛り込まれていた「チベット」の文言を削除した。

 ANOCの宣言は当初「中国政府が対話と理解を通じてチベット問題を解決するよう努めると確信する」としていた。IOC理事を務めるバスケス・ラーニャANOC会長は記者会見で「内政問題に触れると指摘され外した」と説明した。

 理事会は10日からの予定だったが、6日にロンドン、7日にパリで実施された聖火リレーが激しい抗議行動で混乱したことを受け、緊急招集された。しかし出席者は「10日のANOCとの合同会議へ向けて準備しただけだ」(ブブカ理事)と口をそろえ、聖火リレーの議論の詳細についてはコメントを避けた。

 理事会関係筋によると、IOCは妨害行為を避けるため、聖火リレーの規模縮小などコースの見直し作業に着手している。米サンフランシスコで9日午後(日本時間10日早朝)に行われるリレーで負傷者が出るなど事態が悪化した場合には、5大陸の都市を巡る「国際ルート」の中止の検討も視野に入れているとされる。