フランスのバルディゼールで開催されたアルペンスキーの世界選手権は15日に閉幕し、日本勢は期待された男子回転で佐々木明(PJM)ら3人が、いずれも1回目途中棄権に終わった。前回トリノ五輪は50年ぶりの入賞が2人も出たが、来年のバンクーバー五輪に向けての抜本的な対策が急務となった。

 今季の佐々木は故障もあったが、精神面の弱さを指摘する声が多い。今大会の回転で3位のジャニク(カナダ)には、練習の計時で1度も負けていないという。ホールリグル・チーフコーチは「練習では速いが、試合で同じ滑りができなくなった」と首をかしげる。

 佐々木自身は、今季途中まで同行したトレーナーと衝突したことを不振の要因に挙げる。皆川賢太郎(アルビレックス新潟)も技術論などでコーチ陣と意見が合わないことが多くなっていた。

 今季のW杯で日本勢最高成績を挙げ、今大会も大回転で29位の成績を残した湯浅直樹(スポーツアルペンク)は「五輪のときは切磋琢磨(せっさたくま)していた。また最高の2人と競って、滑りで上回りたい」と話す。

 現状で日本に与えられる五輪のアルペン出場枠は男女合わせて4で、フリースタイルの15などに比べ圧倒的に少ない。全日本スキー連盟の片桐幹雄アルペン部長は「強化費が抑えられる中で、まずチームがまとまって動かないと」と警鐘を鳴らした。(共同)