東京都の石原慎太郎知事は16日、外国報道陣を対象にスイスのローザンヌで開いた2016年夏季五輪招致についての記者会見で、開催都市を決める10月2日の国際オリンピック委員会(IOC)総会(コペンハーゲン)への皇太子ご夫妻の出席を正式に要請したことを明らかにした。

 会見出席者によると、石原知事は、麻生首相を通じて政府から正式に皇太子ご夫妻の総会出席を要請したと言明。皇太子さまについては、これまでも総会でのプレゼンテーションでのスピーカー役をお願いしたいと発言しており、会見では「ぜひコペンハーゲンに来ていただいて、日本の国について率直に話してもらいたいとお願いした。恐らく正式な要請が、わたしがローザンヌに来ている間に宮内庁に届いているでしょう」と説明した。

 近年の五輪招致では王室関係者や国家元首クラスらが、投票前のプレゼンテーションに一役買うケースが多く、東京の招致委では「日本の顔」として昨年から皇太子さまの総会出席を求めたいとしていた。しかし、宮内庁は昨年、「皇室の政治利用」として出席には否定的な見解を示しており、「内閣がどう判断するかだが、正式な要請があったとは聞いていない」(宮内庁幹部)としている。

 また、河村建夫官房長官は17日午前の記者会見で「麻生太郎首相も政府としてやれることに全力を尽くしている」と強調したが、政府として要請したかどうかは明らかにせず「皇室の予定や意向を踏まえながら考えなければいけない問題だ」と述べるにとどまった。