第86回東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)は例年になく混戦模様で「戦国駅伝」とも称される。その中で連覇を狙う東洋大に焦点を当てた。

 東洋大は元部員の不祥事を乗り越え、前回初の総合優勝を果たした。今春から酒井俊幸新監督を迎えて新たなスタートを切った。箱根デビューとなった山上りの5区で衝撃的な区間新記録を出し、「新・山の神」と呼ばれた2年生エース柏原竜二は体幹も太くなり今季も健在。「もうやるしかない。優勝したからこそ味わえるプレッシャーを楽しみたい」と意気込む。

 今年の大学駅伝は出雲3位、全日本2位。柏原以外の選手も着実に力を伸ばし、堅実さと選手層の厚さは受け継がれている。駅伝主将の工藤正也は「箱根は各区間が長い。チーム全体が挑戦者の気持ちで、安定感を武器にブレーキさえ起こさなければ優勝争いに絡める」と自信をのぞかせた。

 新体制の緻密(ちみつ)な練習メニューで長期故障者も大幅に減ったという。前回、監督代行を務めて頂点に立った佐藤尚コーチは「持ちタイムだけ見れば10番手ぐらいだけど、けんかはできると思う。弱くてもいたずらはしますよ」と、独特の言い回しで戦略をめぐらせる。

 柏原を再び5区に置くのか、花の2区に回すのか。佐藤コーチの教え子でもある酒井監督は「柏原をどこで使うかで戦略も変わってくる。守りに入らず、おごらず、総力戦で勝負したい」。前回王者は挑戦者として再び王座を奪いにいく。(共同)