下村博文文部科学相は31日、柔道女子日本代表での暴力、パワーハラスメント問題で説明に訪れた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長に「JOCが主体的に調査をあらためてしてほしい」と要請した。さらに他の競技でも暴力などの問題がないかを調べるよう求めた。

 JOCはこの問題を検討するため同日午後に理事、監事を緊急招集した。

 全日本柔道連盟は、ロンドン五輪代表を含む選手15人に告発された園田隆二代表監督を戒告処分としたものの、留任の方針を示している。下村文科相は暴力を禁止する五輪憲章に言及し「国際的な目安の中で再調査して、きちんと判断してほしい」と述べた。

 竹田会長は「スポーツ界として二度とこうしたことが起きないように体質改善に最大限努力していく」と陳謝し、再調査では告発した15選手からの聞き取りを最優先して行う考えを示した。

 他競技で実態調査の対象は、文科省によると五輪競技を軸にしたJOCの加盟競技団体という。

 大阪市立桜宮高のバスケットボール部主将が体罰を受けた後に自殺し、スポーツの指導現場における暴力は社会問題にもなっている。下村文科相は暴力問題の2020年東京五輪招致への影響にも懸念を示した。