【イエーテボリ=菅家大輔】初の世界制覇を狙う浅田真央(17=中京大中京高)に強烈な追い風が吹いてきた。注目の女子は、19日のショートプログラム(SP)で幕を開ける。公式練習で好調をキープしている浅田は、この日の滑走順抽選で自身も納得の9組の4番滑走に決定した。最大のライバル金妍児(17=韓国)は最終10組に入ったが、アップが不足しがちな1番滑走。さらに股関節痛の影響で調整が遅れていることも判明。悲願の金メダルへ浅田が勢いを加速させる。

 真央の視界に世界女王がくっきりと見えてきた。17日午後の練習では、勝負の鍵を握るトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や今季の不振の要因ともなったSPの2連続3回転ジャンプを見事に着氷。「すごく調子がいい。このままいけるように調整したい」。日本女子5人目の金メダリストへ手応えを表した。

 アルトゥニアン・コーチとの師弟関係を解消し、今回は「単身」での世界挑戦だが、悪影響は感じさせない。直前まで中京大リンクで1日に2時間×2回のペースで単独調整。関係者が「自分で滑りの課題を考え、それを克服するまで徹底的に詰めていた。課題を1つクリアするまで次に進まない。ゲームをやっているようだった」と証言するほど充実した練習を積めた。

 そんな浅田にさらなる追い風が吹いてきた。股(こ)関節痛で2月中旬の4大陸選手権を欠場した金の調整が遅れているというのだ。2月中旬から2週間は休養。約3週間前から練習を再開し、ジャンプなどの本格チェックは10日前に始めたばかり。金が師事するカナダ人のオーサー・コーチは「(調整の)遅れはあるが、これから上がっていくだろう」と慎重だ。

 金は東京で行われた前回大会で深刻な腰痛による調整遅れに見舞われた。演技時間2分50秒のSPでは首位だったが、4分前後を要するフリーでは体力が持たず失速して優勝を逃した。その記憶がよみがえったからか、17日夕方に行われた公式会見後には「前回大会ほど自信はない。100%の状態ではないから。優勝?それは体調次第」と弱気発言に終始。この日の抽選では演技前の6分間練習の早めの切り上げを余儀なくされる1番滑走を引き、アップ不足まで懸念される。

 一方で浅田は9組4番滑走。「6分間練習を目いっぱいこなした後に休憩できるから良かった」と笑顔を浮かべた。同い年のライバルとはここまで3勝3敗。追い風に乗り、女王の座を手に入れる。