<ビーチバレー:JBVサテライト平塚大会>◇初日◇4日◇神奈川・湘南ひらつかビー

 バレーボールの元日本女子代表で、ビーチバレーに転向した菅山かおる(30=WINDS)がデビュー戦を白星で飾った。昨年のジュニア選手権優勝の溝江明香(18=産能大)とのペアで、ビーチ特有の強風にも立ち向かい、21-12、21-16のストレートでペア2年目の樽井、豊田組に快勝した。試合後の握手を忘れたり、写真撮影に照れるなど、不慣れなビーチバレーに戸惑いながらのデビューとなった。

 「かおる姫」が焦った。初勝利を祝い、溝江とハイタッチ。喜び勇んでエンドラインに下がり振り向くと、なぜか相手はネット際にいた。「試合をやったことがなくて、どうすればいいか分からなかった」。ビーチバレーでは試合終了後、ネットをはさんで握手を交わすのが習慣。あわててネットに走り、照れ笑いだ。

 バレーボールのヒロインも、ビーチでは新人で初々しいデビュー戦となった。水着にもやや抵抗感があったのだろう。強風でやや肌寒いとあって、菅山サイドは試合前、大会側に「寒いからスパッツをはいて試合をしたい」と申し入れていた。しかし、ビーチのルールでは水着着用が原則。大会側は他の選手にも水着でのプレーを義務づけているとして却下した。

 バレーではあまり経験したことのない試合後の写真撮影でも戸惑った。カメラマンから勝利のガッツポーズを要求されると「いいですよー」と照れてモジモジ。再度、要求されると「本当にいいですから」と、やんわりと拒否した。

 すべてが不慣れとはいえ、そこはバレーの元日本代表だ。コート上では十分に輝いた。まだ2人で練習して5回目と経験不足だが「最初からサーブで勝とうと決めていた」と、バレーと変わらない強いサーブで主導権を握り、約20分で快勝。「初めてにしてはできたと思う。久しぶりのこういう勝負で楽しかった」と笑顔を見せた。

 テレビカメラ14台、報道陣と観客合わせて約150人が押し寄せた。大会関係者も「このレベルの大会では異例の数」と、あらためて「かおる姫」人気に驚いた。ただ、快勝にも本人は「(点数を)つけられないぐらいまだまだです」と謙遜(けんそん)。菅山の新たなビーチ人生は、多くの経験とともにスタートを切った。【吉松忠弘】