<柔道:全日本選抜体重別選手権兼世界選手権代表選考会>◇初日◇3日◇福岡国際センター◇男女計7階級
男子100キロ超級で鈴木桂治(29=国士舘大教)が復活優勝を遂げた。上川との決勝戦で、終了寸前に豪快な大外刈りで1本勝ちを収めた。1カ月前の右太もも肉離れの故障を乗り越えて、同階級では初優勝(100キロ級では4度優勝)。北京五輪初戦敗退で引退も考え、現役続行後も昨年は不本意な成績が続いたが、重量級の主役の座に返り咲いた。9月の世界選手権(東京)代表に選出されることが確実になった。
鈴木の目が覚めた。残り25秒。上川の鋭い内またに体が宙に浮き、たたきつけられた。場外だったが「屈辱的だった」。やり返さなければ気が済まない。終了間際、今度は鈴木が場外寸前から豪快な大外刈りを放つ。相手の体を畳に倒した時の時計表示は0秒。執念が、土壇場での復活優勝を呼び込んだ。
まさにケガの功名だった。1カ月前に右太もも肉離れ。練習再開後も得意技の内または痛みで使えない。「この体でどう勝つか」。残された時間の中で、大外刈りを徹底的に磨いた。国士舘大の山内監督は「(五輪後に階級を上げ)上半身に力がつきすぎて、足技がよくなかった。でも今日は、この2年間で初めてというほどセンスがあった」と絶賛した。
北京五輪後、昨年から公式戦に復帰も不振続き。講道館杯は3回戦負けし「何で勝てないのか」とこぼした。同杯後の国際大会3戦とも2位。その苦闘からはい上がった。全日本男子の篠原監督は「全盛期の鈴木桂治を知っている。まだ物足りない」と注文も出す。鈴木も自覚している。真の復活を証明する場は世界選手権だ。【広重竜太郎】


