<フィギュアスケート:世界選手権>◇5日目◇29日◇モスクワ

 バンクーバー五輪金メダルの金妍児(20)は、冒頭の連続3回転を失敗したが、後半立て直し65・91点で首位に立った。

 観客が、その瞬間、息をのんだ。完璧だったはずの金の連続3回転が、最初の3回転で着氷が乱れ単発になった。さすがの金も1年ぶりの大舞台で「少し緊張していたのは確か」。ほかの選手の演技も得点も目に入らなかった。今大会の公式練習でも、この日の朝の練習でも連続3回転は完璧だった。それだけに「パーフェクトじゃなくて失望した」と悔やんだ。

 しかし、その後に五輪女王の意地を見せた。単発予定だった3回転を、2回転をつけて連続ジャンプにしてしのぐ技を発揮。冒頭のミス以外は、すべて加点がつき「2回転をつけられて、結果として1位だったのでハッピー」と笑顔が戻った。

 2位の安藤とはわずか0・33点差。しかし「自分の演技に集中するだけ」と、この日のSPで緊張が解けた五輪女王に死角はない。