その強さに、心から敬服した。フィギュアスケートGPファイナル(カナダ・ケベック)に出場した日本男女3選手が13日、成田空港に帰国した。母匡子(きょうこ)さん(享年48)を肝硬変で亡くした浅田真央(21=中京大)が、全日本選手権(23日開幕、大阪・なみはやドーム)への出場を表明したことに、全員が「本当に強い」と口をそろえて、心情を思いやった。

 復帰を望んでいた高橋大輔(25=関大大学院)は「彼女の強さをまた見させてもらった気がする。やっぱり、彼女がいないフィギュアスケートはなんか変なので。僕自身も見られてすごく幸せ」と心から喜んだ。鈴木明子(26=邦和スポーツランド)も「また全日本で彼女と一緒に滑れることが、すごくうれしい」と歓迎し、17歳の羽生結弦(東北高)は自分の経験から「親族が亡くなることは本当につらく、苦しいこと。その中でもすぐに全日本で戦っていける強さは、本当にすごいです」。

 3人が帰国会見時に羽織った日本代表ジャージーの左胸には、喪章がつけられたまま。外しはしなかった。ファイナルでともに戦うはずだった仲間を思う気持ち。高橋は、次に会えたときに「楽しく、面白く、元気が出る言葉を言えたら、いいな」。そのときを、静かに待ち望んでいた。【今村健人】