<ラグビー大学選手権>◇2回戦◇25日◇東京・秩父宮ラグビー場、名古屋・瑞穂ラグビー場

 早慶明が、大会から消えた。3年ぶりの優勝を目指した対抗戦2位の早大は、リーグ戦3位の関東学院大に26-28と惜敗。対抗戦3位の明大は同4位の筑波大に9-11と敗れ、同5位の慶大は関西1位の天理大に15-32と大敗を喫した。大学ラグビーをリードしてきた「伝統校」と呼ばれる3校がそろって4強入りを逃すのは史上初。3連覇を目指す対抗戦1位の帝京大は関西2位の同大を18-12と逆転で振り切り、準決勝(来年1月2日・国立)に進んだ。

 早大フィフティーンは、今季最後の笛を聞いてピッチに崩れた。フランカーの山下主将になぐさめられながら、SH西橋が号泣。「優勝させてやれなかったのは、自分の責任」と、辻監督は力なく言った。前半6-21とリードを許した。後半に追いついたが、同20分に西橋が危険なタックルでシンビン。「やっちゃったと思った」と西橋。結局、14人の間にトライを奪われ4強入りを逃した。

 同じ時間に明大は瑞穂で筑波大に惜敗。続いて慶大も天理大に完敗した。明大の吉田監督は「今の我々の力はここまで、ということ」と言い、慶大の田中監督も「天理さんとは力の差があった」と話した。

 早大、慶大、明大は大学ラグビーの「伝統校」と呼ばれる。過去47回の大学選手権で3校の優勝は計30回。その校旗でスタンドが埋まるのが、正月の国立の風物詩でもあった。

 この日帝京大に惜敗した西の「伝統校」同大の宮本監督は「ほかのチームの指導者も頑張っているということ」と話した。早大や慶大、明大を目標としてきた帝京大や関東学院大が新しい「大学ラグビーの顔」になり、「伝統校」は死語になる日が来るのかもしれない。すでに、今大会ではタイムキーパー制を導入。伝統校が数々のドラマを演じてきた「ロスタイム」も、今は存在しないのだから。【荻島弘一】