<フィギュアスケート:スケートカナダ>◇最終日◇27日◇カナダ・ウィンザー

 昨季世界選手権銅メダルの鈴木明子(27=邦和スポーツランド)がショートプログラム(SP)5位からフリー1位と追い上げ、合計175・16点で2位に入った。予定外のジャンプを跳んで自ら招いた危機を、ベテランらしい機転で回避した。SP4位の村上佳菜子(17)は168・04点で3位、GPデビュー戦の16歳ケイトリン・オズモンド(カナダ)が優勝した。男子はSP3位の織田信成(25)がフリーも3位の238・34点で3位、無良崇人(21)は8位。ハビエル・フェルナンデス(スペイン)がGP初制覇を飾った。

 冷たい氷の上で、鈴木が冷や汗をかいた。「頭の方がいっぱい、いっぱいで、4分滑っても疲れなかった」。発端は演技中盤の3回転フリップ。勢い余って思わず1回転ループを付けてしまった。

 そこから頭はフル回転。3度までしか得点対象にならない連続ジャンプを予期せぬ形で使い切り、後半に用意していた3回転-2回転はもう跳べない。舞台「シルク・ドゥ・ソレイユ」の曲で鳥を表現しながら、「すごく計算していた」。ジャンプを単発にして“跳びすぎ違反”を避け、曲が数秒余ると察知すると「焦った様子を見せないように」当初の振り付けにない動きまで加えてみせた。

 昨季はGPファイナルで2位、世界選手権で3位。年齢的に引退も頭をよぎったものの、さらなる向上への可能性を感じて現役続行を決めた。14年ソチ五輪は28歳で迎えるが、経験を生かした安定感は健在だ。「いまできることはできたので、素直にうれしいですね」とドタバタの1日を締めた。