紛失か、盗難か-。ロンドン五輪ボクシング銅メダリスト清水聡(27=自衛隊)が、銅メダルを紛失し、警視庁に盗難の被害届を出していたことが8日、分かった。先月24日に都内で行われたイベントに参加後、メダルがなくなっていることに気がついたという。原宿署は窃盗事件の可能性もあるとみて、調べている。

 原宿署によると、清水が最初に署を訪れたのは今月2日。「ロンドン五輪で獲得した銅メダルが見あたらない」との相談があり、同署は遺失届を受理したという。しかし、メダルの落とし物は届いておらず、清水から4日、「とられたかもしれない」との申し出があったため、盗難の被害届を受理したという。被害額については「詳細は明らかにできない」としている。

 同署などによると、清水は先月24日、渋谷区の東京体育館で行われたリニューアルを記念したイベントに参加した際、会場にメダルを持参。4日後の28日、自宅でメダルを入れていたバッグを確認したところ、なくなっていることに気がついたと話しているという。署は4日、被害届を受け、東京体育館で実況見分を行い、窃盗事件の可能性もあるとみて調べている。

 “現場”となった東京体育館を管理、運営する公益財団法人東京都スポーツ文化事業団は困惑している。

 イベント当日、清水は午前9時半ごろ来場。午前10時からのイベントに参加し、午後3時半ごろ1人で帰ったという。同事業団職員は「清水選手からは『控室のテーブルの上に置いたような気がする』とのことだったが当日も控室に忘れ物はなかった」と説明した。

 清水が使った控室は、カギは掛かっていなかったが、係員にIDカードを提示しなければ入れない区画の中にあったという。担当の職員は「当日は、別のメダリストが銀メダルを持参したが盗まれていないし金品の被害もない。お気の毒ですが、体育館で盗まれたとは考えにくい」と話した。同文化事業団によると、清水選手はイベントの際、メダルは首から下げていなかったという。

 清水が所属する自衛隊体育学校広報室によると「本人はショックを受けている」という。清水は今日9日、名古屋市内の愛知県警南署で一日署長を務める予定で、消えたメダルについてコメントするとみられる。<過去のメダル紛失>

 メダル紛失は24年周期の悪夢!?

 五輪メダルの紛失騒動を起こしたのは、清水が初めてではない。レスリングでは64年東京大会フリー・フライ級金メダリストの吉田義勝、そして88年ソウル五輪フリー48キロ級金メダリストの小林孝至が大切なメダルをなくした経験を持つ。64年、88年と24年ごとなら次は12年…。時のいたずらなのか、12年ロンドン五輪でも“被害者”が生まれてしまった。

 吉田はうっかりミスだった。65年3月、日大の卒業式会場の両国・日大講堂に向かう総武線の網棚に置き忘れた。3日後に持ち帰った人物が匿名で返還してくれた。

 小林も同様のミス。88年10月、上野駅の電話ボックス内に置き忘れて紛失した。2日後に拾われて無事手元に戻った。その後メダルに保険をかけようとするが、損害保険会社で「メダルの価値が分からない」と断られた。