<体操:NHK杯兼世界選手権代表選考会>◇最終日◇9日◇東京・代々木第1体育館
12年ロンドン五輪個人総合金メダルの内村航平(24=コナミ)が、前人未到の5連覇を達成した。完璧な演技を披露し、全6種目で15点以上を出した。合計273・575点とし、2位の加藤凌平(19=順大)に7・5点差をつけて圧勝した。
これが王者の貫禄か。最初の種目、床運動が終わったときから終始、内村は笑顔だった。1つ1つの技、着地に割れんばかりの拍手が送られた。声援に応えるように6種目全てで演技が終わると、応援席に向かってガッツポーズ。「床からいい流れができた。大きなミスなく着地までまとめられて、理想に近い形の演技ができた」と金メダリストも納得の表情だった。前日の予選で既に2位と3・950点差。五輪後に右肩などの痛みで休養し、体力が戻っていないことを考慮して平行棒以外の5種目で難度を下げた。
演技構成の変更は当日のアップ中に決めた。跳馬はコーチに相談する前に、前日の予選で跳んだ高難度の技でなく、五輪でも使ったシューフェルト(伸身ユルチェンコ2回半ひねり)に取り組んでいた。半年以上練習をしていなかったが上体は安定し着地は乱れず。技の難度D得点は0・4点低くなったが、演技の出来栄えを評価するE得点は10点満点で9・45点だった。
五輪後に適応された新ルールで初めて、全6種目で15点台を出した。「今の理想は、全部着地を止めて、減点のしようがない完璧な演技。まあ、一生できないと思いますけど」と会見でも笑顔だった。
難度を落とした演技が、進退を考えるきっかけになった。長期的な目標は、種目別ではなく個人総合に重点を置くことで、練習での体への負担も減るという。「長く体操をやっていきたい。2020年の五輪は、モチベーションが保てないので東京に来てもらわないと困る。20年の五輪まで、やりたいなと思います」。王者の目は、さらなる上を見ていた。【保坂恭子】


