<静岡県高校ラグビー新人戦:静岡聖光学院33-17静岡>◇8日◇静岡・草薙球技場◇準決勝、5位決定戦

 静岡聖光学院が、33-17で静岡を下し、悲願の初優勝に王手をかけた。前半7分にCTB佐藤陽介主将(2年)が中央に先制トライを決めると、その後も攻守にFW、BK一体となった試合運びで、個人技に勝る前年覇者を突き放した。昨年は新人戦、総体、全国高校ラグビーの県3大会で、すべて準優勝に終わるなど、決勝の成績はなんと1勝14敗(13連敗中)。15日の決勝では今度こそ「シルバーコレクター」の異名を返上する。2年ぶりの頂点を狙う東海大翔洋は、20-12で浜松工に逆転勝ちした。

 今年こそ、県高校ラグビー界の頂点を目指す静岡聖光学院が、まずは昨年の新人戦決勝のリベンジを果たした。「去年の借りは、早めに返したいですからね。僕らは今年3冠を取ります。次は(県総体と全国高校ラグビー県大会の決勝で負けた)翔洋。勝つしかないでしょう!」。3トライを挙げた佐藤主将が、堂々と言い放った。

 攻めて守って、突き放した。守備面で課題は出たが、展開は理想的だった。前半7分に敵陣ゴール前5メートルのスクラムから4人がつないで主将が先制。13分には22メートルラインから左に展開して追加点。1年生キッカーのSO宗像仁が、楽々とゴールを決めて主導権を握った。同21分には、昨年6月末にサッカー部から転部してきたCTB杉山卓也(1年)が、サインプレーから独走してトライを奪った。

 高い運動能力を持つ静岡BK陣の猛攻には苦しんだが、最終的には安全圏の16点差での快勝。「まだまだ内容には波があるけど、この時期に(準決勝の)浜工や静高にこれだけの大差で勝てたのは大きいですよ。今年は全国で通用する、いるだけでオーラを出すようなチームをつくりたいんです」。4月には就任3年目を迎える星野明宏(35)の鼻息は荒い。

 「決勝戦負けっ放し」の歴史を、今度こそ書き換える。85年6月の県総体決勝で東海大一(現東海大翔洋)を9-0で下して初優勝したのを最後に、3大会の決勝戦では24年間で13連敗中だ。アンダーウエアの左肩には「成し遂げる」の部訓が縫い込まれている。大志を胸に抱く静岡聖光学院が、宿敵を相手に夢を現実に変える。【大石健司】