世界的な金融危機のあおりを受け、来年10月に予定されていた大相撲のロンドン公演が中止となることが20日に判明した。長引く大不況に現地スポンサーや運営サイドが悲鳴を上げた格好だ。

 これは3年連続で実現している海外巡業の開催にも影響してくる。相手国の招待を受けて実現する海外公演と違い、巡業は地元興行主が主催する。興行主であることが多い企業はここまで不況が深刻化すると、及び腰になるのは当然だろう。

 日本相撲協会は昨夏、東南アジアのタイから2010年に首都バンコクで巡業開催の打診を非公式ながら受けている。関係者によれば、主催者側の中心はトヨタ自動車の現地法人。この関係者は「減産や社員の解雇が続く自動車業界の現状を考えれば、相撲の巡業どころではないはず」と話す。相撲協会巡業部のある親方は「タイ巡業は無理だろう」と顔をしかめた。

 スポーツに与える景気悪化のマイナス面は角界にも及んできた。巡業部の尾車親方(元大関琴風)は「海外はもちろん国内巡業もこれまで通りとはいかない。現在の不況は相撲界にも大きく影響してくるだろう」と危機感を募らせている。