日本相撲協会は26日、大阪府立体育会館で大相撲夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、モンゴル出身の大勇武(24=芝田山)の新十両と、武州山(31=武蔵川)若荒雄(24=阿武松)安壮富士(32=伊勢ケ浜)の再十両昇進を発表した。外国出身関取は史上最多の22人となった。芝田山親方(45=元横綱大乃国)にとっては、99年6月に部屋を創設してから初の関取誕生。「スイーツ親方」は愛弟子を特注ケーキで祝った。

 晴れ舞台には、あま~い香りが漂っていた。部屋創設から9年目、待望の関取誕生に芝田山親方がハッスルした。「弟子3人で始まった部屋が…」の苦労話の最中も、周囲は鼻をクンクン…。アナウンサーの「めでたいものが用意されてるそうで」の声とともに特製ケーキが運ばれると、同親方の目尻が下がった。

 縦35×横50×高さ8センチの特注品は約60人分。同親方が24日に発注した。製作した「富屋」の上西善博さん(46)は「1日がかりでつくりました。販売すれば2万円くらいでしょうか」。ババロアといちごをふんだんに使い、桜のゼリーも入った自信作の上には、なぜか大勇武でなく親方の似顔絵が…。師弟は新郎新婦のように「ケーキ入刀」し、ふるまい酒ならぬ「ふるまいケーキ」で、周囲とめでたい甘さを分かち合った。

 同親方は角界一の甘党を自認し、06年9月に著書「全国スイーツ巡業」を発売。今回は自作ケーキとはいかなかったが「スイーツ部屋ですから」のプライドとともに、愛情いっぱいに弟子を祝福した。ところが大勇武は「好きな食べ物はたこ焼き。甘いものはあんまり…」。親の心は子に届いたのか!?

 同親方は「そんなに甘い世界ではない。ここからがスタートなんだから」と締めくくった。【近間康隆】